アメリカに居る私の友人とスマホでビデオチャットをした時のこと。
夫と話をする前に、彼のセカンドネームを教えて欲しいと友人が言った。今までは夫のことを「ゴシュジン」と呼んでいたが、それではどうもいかんと思ったらしい。夫の名前を伝えたが、何度発音しても上手に言えなくて、ニックネームはないの?と聞かれた。日本語も流暢に話せる人だが、「ヒサカツ」というのはどうも発音しづらいみたいだった。適当なニックネームもないので、ぴったりのニックネームをつけてくれと頼むと、友人はスマホの画面を通して夫の顔をしばし眺めた後、「ジョニー、そう、ジョニーだね」と言って、夫と話し始めた。
ひげを生やしている夫の、その感じが、ジョニーという名前の決め手らしい。夫は照れながらもニックネームを気に入った旨を伝えていた。
私にはアメリカ的なニックネームの付け方は全くわからないけれど、そう言われればそんな感じもするし、ピッタリと言えばのピッタリのような気もした。
結婚してこのかた、夫の呼び方はいくつかあって、それは時に応じて変わってきた。
息子が生まれる前までは「シミズさん」(他人みたい)。ヒサカツさんというのが言いにくくて、結婚してからもシミズさんと呼んでいた。
息子が小さい時は「パピー」(小犬みたい)。
息子が小学生になってからは「父さん」(私の父ではないんだけど)。息子が大学生となって家を出てからも「父さん」と呼び続けている。
ただし、私の仕事を手伝って欲しい時は「久勝先生」(ちゃっかりではあるけれど、尊敬の気持ちは込めています)
長年呼び慣れた「父さん」という呼び方は「今となっては、なんだか変だよね」と思い始めた昨今、タイムリーにもらった夫のニックネーム。「ジョニー」。
とても敬愛している友人から頂いたものだし、この先の老父婦関係も、ちょっとは楽しくなりそうな名前だ。そう思って、「ジョニー」と呼んで見たら、「はい」と返事が帰ってきた。昔からそう呼ばれていたような、とても素直な「はい」だった。
「ジョニーと呼ばれてどう?」と聞いたら「別にいいんじゃない・・」と、全くあっさりな回答。うっ! なんだか気恥ずかしさを感じていたのは私だけだったんだ。
「♪〜ジョニーが来たなら伝えてよ〜〜♪」夫はジョニーへ伝言の歌を口ずさみながら、いつものように仕事をしている。
これからは、夫のことを、どうぞジョニーと呼んであげてください。そのうち私もこの呼び方に慣れてくると思います。