オーク無垢材で制作した木製椅子。背板に羽がついていている天使という名前の椅子。大人用と子供用の2脚

馬小屋と納屋で生まれた天使の椅子

ー結婚32年目の発見 その2ー

Q:独立後最初に作った作品は何ですか?
>お仲人さんをしてくださった方がレストランを開業されることになり、そのお店のテーブルと椅子を6セット作らせていただきました。初めてのオーダー制作でした。
Q:最初に自分の作品が売れた時の記憶は?
>一番最初というわけではありませんが、朝日現代クラフト展で入選した椅子が、その入選作品展覧会の会場で売れた時はとても嬉しかったです。知らないところで知らない人が買ってくれたというのは初めてのことでした。
Q:どんな椅子だったんですか?
>天使という名前をつけた椅子です。椅子の背に羽が生えている。独立後まもなく作った椅子ですが、ロングランで制作しています。僕が作った天使が全国各地の家庭で生活しています。天使製造業です。椅子ですけれど。(笑)子ども用のちっちゃいものもいます!子天使です。僕はぺてん師・・・冗談。冗談。
Q:1987年に独立された時の工房はどんな工房だったんですか?
>宮若市(当時は若宮町)の外れにある集落の、そのまた外れにポツンとあった、築百年以上経った農家の納屋と馬小屋が工房でした。約半年かけて改修しましたが、雨風がしのげる作業場といったところです。天井が低くて、大物を作るにはいろんな工夫が必要でした。窓と扉を開ければ長い材料が削れるように、機械の位置を工夫したり。集塵機もありませんので寒風吹く中、窓や扉は全開で作業してました。木くずは風にのって飛んでいきます。人家が近くにないというのが特典でしたね。夜遅くまで気兼ねなく機械を回していたし、金槌のコンコンという音が、山あいの静かな空間に響き渡るような場所でした。
Q:天使の椅子は、そこで作られたんですね?
>はい。納屋と馬小屋で生まれました。恐れ多くも、イエス様と一緒です(笑)
当時作ったオリジナルバージョンは無垢のオークの板材で制作しました。これは、オーダーでお作りしています。今は、背伸びバージョンの天使の椅子が定番です。
Q:背伸びバージョン???
>羽のついた背板を樽材のカーブした部分で作っています。天使が背伸びしてるようにも見えるし、座った人が背伸びができる。そんな感じです。樽材というのは、洋酒を貯蔵していた樽ですが、その役目を終えて、使われなくなったものを再利用しています。もちろん使えないくらい痛んでいるものもありますが、とても立派な材です。
つづく・・・
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元資材置き場に並べた天使の親子の写真は1990年撮影。そーいえば、馬小屋だったなあ。そーいえば、し〜ずかなところだった。そーいえば、いろんな生き物がやってくるところだったなあ。珍しいところではコウモリ。さらに珍しいところでは、ビーグル犬。時をおいて2匹。1匹目は数年居て何処かへ行っちゃった。2匹目は、物置の片隅でいつの間にか8匹の子犬を出産していて驚いた。その8匹の里親探しも終了した頃、実の飼い主の元へ戻って行った母犬。面白いことが起こるところだったなあ。そーいえば・・・

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