樽材で作ったバターディッシュとバター

マーガリンよさようなら

「おもしろそうじゃん」と、おつきあいのコメントはしたものの。
『木箱を冷蔵庫に入れる?銀紙はずすと酸化が早くなりそう。この木のナイフの切れ味やいかに?』
夫が作った木製のバター保存箱を最初見た時の正直な感想だった。(口には出しませんでした)
マイペースの彼は、バターなしの木の箱を冷蔵庫に保管し、日々木の状態の観察を続けていた。(変なことしてるって思ってました)
その年の展覧会で、このバターケースは料理好きの女性陶芸家の台所へお嫁入り。「最初見た時からこれが欲しい!って思ってたんや」という彼女のコメントが、ちょっと気になった。使ってみたいなんてちっとも思わなかったから。(そんなにいいものなのかな?)
その後、バター保存箱がいくつか制作されたんだけど。その中のひとつを手にとって「これは重すぎだ。フタが厚い」という夫の言葉を小耳に挟んだ時、「うちで使ってみようか」と言ってしまった。(なんとなくなりゆき)
銀紙をベリベリッとはがし、バターを木の箱に納めてみたところ、想定外に美しい。
まずは冷蔵庫での保存状態を観察。バターの酸化は進行していないし、カチンコチンにならない。木箱の状態は異変なし。木製ナイフの切れ味も悪くない。バターの汚れは容器に擦り込める。これまた想定外に良さが見えてきた。バターケースというよりは、バターディッシュと呼んだ方が似合っているカタチ。斯くして我が家の冷蔵庫にバターディッシュの指定席ができた。マーガリンに別れを告げて数年。今やバターひとすじ。(私には先見の明はない・・・か)

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