というのは嘘だった。(というか事実ではなかった。)
大失敗はもちろん、小さな失敗にさえも縁がない人だと思っていた。手作業の神様のように尊敬もしてきた。ながく、長く、なが〜い間。だのに、失敗をしたことが他の人にわからないだけのことだったなんて。夫が失敗をした現場を目撃してしまって。驚いた。驚いた。
一つ目の驚きは、夫は、よく失敗をする人だったこと。二つ目は、やってしまった失敗への対処の仕方。
静かに巻き戻しし、静かに作業は再開される。予定どおりのものが出来上がる。失敗の跡形はナッシング。おみごと。何がみごとかって、それは夫のその静けさだ。失敗と失敗を補完する作業が、あらかじめ予定の中に組み込まれていたかのように、淡々と作業は進められる。
「ぎゃ!」と思わず叫んだり「ちっ!」と舌打ちをしたり、「うーん、どうしよう」と唸ったり、世間に自分の失敗を宣伝するようなリアクションを起こす私とは、何か大きな違いがあるかも。そう思って夫にインタビューをしてみた。
「失敗はよくします。」とあっさり。「あ、こうなったか。」「じゃあ、次はどうしようか」と進めていくだけのことだそうだ。(超冷静で結構のんびり。ポーカーフェイスの極みっぽい)「しまった」とか「くそっ」とかはちっとも思わないというのが、私との決定的な違いだった。(こういうのを心根が違うっていうのかなあ)一旦ホワイトした「手作業の神様」という文字を「手作業の達人」と書き直してみた。これからも尊敬できそうな夫でよかった。
私の仕事ぶりは、黙って俺について来い系。人は黙らせても、自分はつまずくたびに声をあげてしまう。これじゃあかんなあと思う。でも、尊敬できる人がそばにいるからって、自分もそうなれるわけではない。どーしたもんだろなあ。。。。ツクツクボーシの声を聴きながらちょっと物思いにふける。
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