まな板の上の木工家清水久勝 

ー結婚32年目の発見 その1ー

ご主人ってどんな人なんですか?と展覧会を開催するたびに質問される。
「私に聞かないで本人に聞いてください」とも言えないし、「見た通りの人です」というのも不親切。「妻には意地悪な人です」と言っても嘘っぽく聞こえるらしい(事実なんですけれど)。結局テキトーな話でごまかしてしまう。そこで、木工家清水久勝を徹底解体して、その人となりや木工の仕事について、再認識してみるのも面白いのではと思いついた。
客観的な立場で夫の話を引き出してくださりそうな、O 氏にご協力をいただいてスタートした夫へのインタビュー。初耳のこともあり。知っていたことも、改めて聞かされるとなかなか面白い。ではでは、「まな板の上の木工家清水久勝」解体を少しづつ紹介しますね。

Q:木工を始めたのはいつですか?
 >僕が21歳の時ですから、木工歴43年。長いことやってるなあ。
Q:始めたきっかけは?
 >当時北九州にあった九州民芸村が、吹きガラス、焼き物、家具の工人見習いを募集していました。その求人広告を新聞で見つけて行ってみました。
Q:天職だとピンときたんですか?
 >そうですね。子供の頃から、プラモデルを組み立てたり、酒の入っている木箱(実家が酒屋で、材料がたっぷりあったんです)をバラして、ベンチやレコードケースなどを作ったりしてたので、家具を作りたいなと思いました。(それまでは、全く別の仕事をしていました。)
Q:当時の職場はどんな様子だったんですか?
 >工房はとても活気がありました。熟練した職人さんに、私と同年代の若者数人。パートのおばちゃんたち。残業も泊りがけでやったりと、家具作りに明け暮れる日々でした。日祭日には民芸村を開放していたので、大勢の人が見学に来てとても賑やかでした。
Q:家具を一人で作れるようになるまでどれくらいかかるんですか?
 >人によって、また習い方によって違いがあると思いますが、私の場合は見習いから初めて、約1年半くらいで自分の作ったものがお店に並ぶようになりました。
その当時は、工人の腕を磨くために検定作品制作というのがあって、仕事の時間外で作るんですが、とても楽しく自分の作品を作らせてもらいました。社長に見せて評価を受けるんです。
1年目は小箱(小抽き出し)。2年目には姫鏡台。3年目には四方棚を作りました。
会社が持っている良い材料を使って、贅沢させてもらったなと思います。木工を初めて数年にしてはなかなか良い出来だな。と自画自賛(笑)どれも今使っています。
Q:民芸村で仕事をしていた時で、楽しかったことや印象に残っていることは?
>家具を作ること自体が何より楽しかったです。
全国各地のデパートの実演に出かけるのも面白かったです。デパートのワンフロアを借りきって民芸家具を販売している、その片隅でカンナで部材を削ったり、椅子を組み立てたりする実演でした。家具も飛ぶような売れ行きで、民芸家具全盛時代を体験しました。
家具修理の出張もありました。日光東照宮のご自宅の家具修理に行った時、ご自宅の部屋一面に配置されている民芸家具に驚きました。天井までびっしり!結局、その場では修理できないことがわかって、お昼に準備してくださった上等な握り寿司を食べて、何もせず帰ってきました。あの寿司は美味しかった!。
それから、何より手作りのものを見る目を養わせてもらったと思います。民芸村がコレクションしていた、全国各地そして東南アジアやアフリカ、スペインなどの民芸品を見たり、民芸村内にある吹きガラスや陶芸の工房で遊んだり、そこで作られたものを使うことで、手作りのものへの見方が広がったように思います。
Q:民芸村にはどれくらいいたんですか?
>10年です。結婚と同時に独立して自分の工房を構えました。ですが、それ以降も後輩の指導という形で時々民芸村で仕事をしていました。
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九州民芸村は今は存在してなくて、その建物と敷地だけが当時の場所にそのまま残されているようだ。
妻の私が織物を始めたのも民芸村。こうやって当時の話を聞いていると、私の若かりし頃の思い出も蘇ってくる。

酒は飲まないしタバコもしない。音がしないくらい静かな人。楽しそうにしているのは、お昼休みのソフトテニスやバレーボールをしている時だけ。3時の休憩にシロヤの練乳パンを美味しそうにかじる人。新車の白いスバルレオーネで黙々とアッシーをやってる人。周りの人から大変信頼されている人。でも、酒もタバコも遊びも大好きな私には、ちょっと怖いお兄さんで近寄りがたい人だった。こんなに長いこと人生を共にするなんて、そりゃ思いもしなかったわ。『新車・スバル・レオーネ』が決め手だったのかなあ。現在は、酒は少々嗜み、お茶目さも披露。時には妻への毒舌もあり。ということは付け加えておこう。

嫁入り道具ではなくて、嫁迎え道具の一つだったあの姫鏡台。木工を初めて2年目に制作したのかあ。知らなんだ。知らなんだ。「ひさかつ先生」と呼んであげようかな。マジで。
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