樽材に出会ったのはおよそ25年前。某菓子メーカーに勤務されていた方からシェリー酒を貯蔵していた樽をいただいた。数年間、樽はそのままの姿で放置していたが、タガが緩みぐらついてきたので解体を余儀なくされた。バラバラになった樽の板を手にした時、かねてかよりご依頼をいただいていた『立ったまま使える靴べら』を作ってみようと思いついた。幅もカーブも微妙に異なる樽の板は、汚れもひどく、傷んではいるもののなかなか面白い素材に思えた。ワイヤーブラシで汚れを落とし、靴べらに程よい長さ、曲がり具合の板を選び出した。割れやヒビの部分を削り落として、一本の美しい曲線を手ガンナで削り出す作業は、ことのほか楽しい作業だった。自分の来し方を告げるように、樽板を削っている間にはお酒の香りがした。
この靴べらをきっかけに、樽を使って制作するものが増えてきた。百年以上生きてきたホワイトオークという木が、樽に仕立てられ、さらに長い間酒を貯蔵してきた。そんな歴史を持つ『樽材』には独特の味わいがある。そして、汚れを取り除いた『ホワイトオーク』という木はしっかりと生きていて美しい。樽としての役目を終えたこの木がさらに長く生き続けるような、そんな何かを作る機会をいただき、心より感謝しています。 <清水久勝>
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